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文系の方のために(2)

放射線について

放射線とは、放射性元素が崩壊するときに、外に放出される粒子線あるいは電磁波のことです。逆に言えば、放射性元素がそこにあっても、崩壊しなければ放射線は出ません。

ところで、コインを投げて表が出る確率は50%ですが、1枚のコインを2回投げても、必ず1回が表、1回が裏が出る、とは限りません。
もしかすると、10回連続で裏が出るかもしれません。
ですが1万枚のコインを投げれば、ほぼ半数は表でしょう。

放射性元素の崩壊もこれと似ています。
放射性元素の1つの原子をじっと観察していても、それが崩壊して放射線を出すのが1秒後なのか、1日後なのか、1万年後なのか、誰にもわかりません。

しかし、放射性元素には固有の「半減期間」というものがあり、たくさんの放射性元素の原子を集めてくれば、半減期を経過すると数が半分になっています。
これは確率論です。

ガンマ線測定器は、放射性元素が崩壊するときに出すガンマ線という電磁波を測定しています。たくさんの原子が崩壊すればたくさんのガンマ線が出ます。

長い時間かけて測定すれば、測定値はほぼ一定になるでしょう。でも、長い時間かけて測定なんてしてられない。そこで、測定器は短い時間ガンマ線を測定して、同じ数だけ1時間出続けたら、これだけの数値(μSv/h)になりますよという値を表示します。
ですが、放射性元素の崩壊は上に書いたようにきまぐれですから、ある短い時間に測定されたガンマ線量と次の短い時間に測定されたガンマ線量は一致しません。(放射性元素がたくさんあれば、確率的にほぼ一定になる。しかし、そんな場所の測定をしたいとは思わない。真っ先に逃げる)
だから、放射線測定器で2回測定してその値が違うのはあたりまえなんです。測定に要する時間が短い測定器ほどそのばらつきは大きくなります。

こういう放射線の特性と測定器の特性を知った上でデータを評価しないと、本質を見誤ります。

エアカウンターSがそこらのホームセンターでも売られている現状を見ると、素人が電源を入れてすぐに最初に出た値を鵜呑みにして騒ぎ出す、なんてことが起こりそうです。(実際、その後の測定でNDの自宅内で、電源を入れてすぐの測定値(確定前の数値)で2μSv/hと出た)
by s-kei | 2012-02-15 15:13 | 趣味