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西日本と東日本の植生考(木本)

なんて大きなタイトルをつけてみたが、大した内容ではない。

今回、博多出張の合間に大宰府で古い寺を見に行った。
そこには大きなクスノキがあり、アオバズクがいた。
そこ以外にも、大きなクスノキがあちこちにあった。
クスノキがあれば、当然アオスジアゲハもたくさんいる。

考えてみれば、子供のころ住んでいた大阪では、神社や寺院にはよくクスノキの大木があった。
そしてアオスジアゲハもよく採った。幼虫から育てたこともあった。

関東ではクスノキを見ない。
大木といえば、たいていケヤキだ。

大阪ではケヤキはほとんど見なかった。
ブラックジャックを読んだ時に、「ケヤキ太郎」というのが出てきたが、どんな木か想像がつかなかった。
手塚治虫は大阪出身なのに、なぜケヤキが?
ケヤキの大木のイメージは、手塚治虫が上京してから得たイメージによるものかもしれない。

さて、話をクスノキに戻そう。
クスノキは一次林にはない。
ということは、人為的に植えられたものだ。
ただし、それがいつごろから何のために植えられたものか定かではない。
神社・仏閣にクスノキが多いのは、単なる偶然ではないだろう。
かつて、仏教の経典は、経木に書かれた。(だからこそ「経木」と言う)
その大切な経典を虫に食われては大変だ。
そのためにクスノキから採った樟脳を虫よけとして利用したことは想像に難くない。
神社にあるのも同様だろう。

だとすれば、大和王朝の支配が強かった畿内や筑紫をはじめ、西日本の神社・仏閣を中心としてクスノキがたくさん植えられていても不思議ではない。

さて、ではなぜ関東には少ないのか?
単に朝廷の威光があまり届かなかっただけか?
なぜケヤキなのか?(ケヤキにはケヤキでなければならないような特別な利用法がない)

そのへんはデータがなさすぎてわからない。

一つ、大きな謎がある。
宮崎駿の「となりのトトロ」の舞台は、明らかにここ所沢なのだが、そこに生えるご神木はクスノキだ。
この部分を書いたのは誰なのか?
その誰かは、西日本出身に違いない。
でなければ、ご神木の大木=クスノキという図式は成り立たないのだから。
by s-kei | 2010-07-10 22:42 | 動植物